感想:シン・ニホン 日本はオワコンだからこそチャンスがある

シン・ニホンについて

日本の現状はヤバイ、オワコンだ。

だからこそ勝ち筋がある。

というのがこの本のメッセージです。

安宅さんの時間軸においても都市と地方の関係においても、超俯瞰的に見ている凄まじい本です。

さらに海外の(特にG7の国々)との比較をして日本の現状と勝ち筋について考察している本です。

 

日本の現状とは

日本は今一人負けの状態である。

というのが現状の分析です。先進諸国の中でただ1国生産性を伸ばすことができていません。全ての産業を先進国平均に持っていくだけで日本はピカイチの国になることができる状況です。

生産性の低さは賃金の低さに現れており、13%以上の労働者は最低賃金付近で働いています。

さらなる問題は日本人の労働時間の長さです。

主要国の中で労働時間の短いイタリアの倍以上働いている。さらに女性の社会進出が遅れ、リーダー層に女性が少ないことも問題です。(これの根源的な原因はリーダーになる可能性の高いトップ大学に女性が少ないことが挙げられます)

定年でしか人材を吐き出すことができず、人材の流動性が極端に低いことも生産性が低い大きな問題です。

データ×AI分野ではどうか

データ×AI分野で戦うには

①情報収集を抑える

②情報処理を抑える

③処理した情報で価値を生み出す出力部分を抑える

この3つのポイントを抑えておくことが重要です。

この3つの全てができていないのも日本の特徴で、既存業態の保護のためにデータがうまく利用できていない。さらに理数分野に進む学生が少ない。そのため情報処理分野や処理した情報から価値を生み出す人材も足りていない。

そんな日本の希望とは

技術の進歩には3つのフェーズがある

第一フェーズは新たな技術が生まれる段階、第二フェーズはその技術を応用したものが生まれる、そして第三フェーズでは技術を応用したモノたちがエコシステムを作り出す段階である。

例えば産業革命では、蒸気機関が生まれたのが第一フェーズ。第二フェーズでは車や家電などの応用したモノがどんどん生まれていくという時代になる。

そして第三フェーズでは緻密な鉄道網やゲーム機など、周辺のことを巻き込んだエコシステムを合わせて作り込んでいく段階です。

そしてなんと日本が強い部分はその第三フェーズです。

というより、今まで日本は第一フェーズに参加したことがないのです。

本書では例として仏教と、産業革命が挙げられています。どちらも日本で発明したわけではないですが、発展の仕方は他国を遥かに凌駕するものであります。

日本が復活するためのポイントは?

AIを使える社会に変革する

日本は現在設備の面でもリテラシーの面でもAI×データ社会に参画できていません。

人材、扱えるデータの整備、データの処理能力のいずれも足りておらず、この分野においても負けてしまっている状況です。

そのため、まずは国民全員がAIを使えるようなリテラシーをもつことが重要なポイントになります。

 

そのほかにも安宅さんは日本再生のための糸口をこの本の中で示してくれています。

一見未来がないと考えられるような日本においてもまだまだ勝ち筋があることを気づかせてくれる本です。