the Strokes the New Abnormal 7年ぶりの新譜!変わらないよさと変化するよさ
実に7年ぶりの新譜!ストロークスの新作the New Abnormal
久々の新譜がApple Musicの通知で入ってきたときにはわかってるな〜と。
初期はガレージロック感の強い音像が中心でしたが、ドラムは打ち込みが多くなり、エレクトリックな要素が強くなっていっていますね!(ドラムは人力でやっててもリズムマシンみたいでしたけどね笑)
本作も1曲目から打ち込みのドラムで始まります。
相変わらずあのキレのあるクリーントーンのギターバッキングとウネウネ動く、シンセサイザーのようなギターのメロディーラインを聞くとやっぱりストロークスはこれだよなという気分にさせてくれます。
アルバムのアートワークはなんとバスキアのもので、カラスみたいなモチーフが印象的です。
同じニューヨーク生まれのバンドと、画家ということでのコラボかもしれませんが、毎度のごとくお洒落なアートワークで飾ってきますね。
ストロークスとの出会いはやっぱりファーストだった
僕のストロークスとの出会いはやはりファーストアルバムでした。
The Strokes - The Modern Age (Official Music Video)
一番初めに聞いたのがこの曲で、シンプルさとその中に感じる自由さやゆとりのようなものがとても印象的です。
しかもこのナポレオンジャケットがかっこいい。
洋楽の良さの中には繰り返しの美学がありますが、まさに繰り返し&繰り返し。
邦楽の展開力とはまた違った曲作りにハマり、よく聞いていました。
the New Abnormal
歌い方というか、ボーカルの音作りが変わった
今作についても、以前からのストロークスと変わらないシンプルさやキャッチーなメロディーももちろんなのですが、歌い方としては裏声を用いた表現や、感情がより感じられる歌い方になっています。
以前はどちらかというと、拡声器を通したような少し、歪みがかった音作りが中心でした。
しかし今回は歪み感がだいぶなくなった印象でクリアな歌声を聞くことができます。
特に2曲目のSelflessでのハイトーンを使った歌い方とても素敵です。
一続きのような作り方の1〜2曲目と4〜5曲目
1曲目のThe Adults Are Talkingの終わりに2曲目に繋がるようなセッションのような音声が挿入されています。また4曲目のBad Dicisionsと5曲目のEternal Summerの間にも繋がりを意識した音が挿入されています。
この造りにはこのアルバムをアルバム通しで聞いて欲しいというような彼らの意思を感じます。
例えばドレイクのスコーピオンのようにチャートで上位に行くために大量の曲を収録したアルバムもあり、その戦略については賢いなと思う反面、1曲1曲の単位で曲を聞く人が増えた中でも46分といういわばレコードサイズのアルバムの長さでつくるストロークスはやはり好きです。
アーティストの創作はアルバムに強く現れると考えています。アルバムで聴くことが好きであるからこそ、レコードサイズの長さはとても好きです。
ギターサウンドとキーボードサウンドが両立したレトロフューチャー
ストロークスの魅力はレトロさと近未来感の両立にあります。
ギターやボーカルのなどの音は基本的にハイファイすぎないオールドロックの雰囲気を残しています。
しかし、リズムの繰り返し、ギターのフレーズの機械的なところ、キーボードが入るパートは近未来感を感じさせてくれます。
その未来感もギンギンの未来感ではなくちょうど、SFの世界のような完全に未来というよりはまさにレトロフューチャーという様子です。
本作は全体を通してそのレトロフューチャーを感じさせてくれますし、現在公開されているミュージックビデオにもその世界感は表現されています。
以前からジュリアンはレトロなロッカーズスタイルであるレザーのライダースにナイキのハイテクなハイカットのスニーカーを好んで合わせているあたりもこのレトロフューチャーが反映されているポイントでしょう。
ぜひアルバム通しで聞いて欲しい良アルバム
ポップさだけでなく、芸術的な視点でも楽しめるアルバムに仕上がっている今回のThe New Abnormalです。
過去からのストロークスの良さだけでなく新たな取組みを感じる本作もすでにお気に入りのアルバムです。
9曲、46分のコンパクトなレコードサイズの長さのアルバムなのでぜひ聞いてみてください。
つづく